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本:『世界一受けたいお金の授業』

Audibleで、『世界一受けたいお金の授業』を聴き終わりました。長さは2時間50分と、長すぎず短すぎず、すきま時間に気楽に聴くことができました。ページ数で言うと、192ページだそうです。

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世界一受けたいお金の授業 Check out this great listen on Audible.com.au. 本タイトルには付属資料・PDFが用意されています。ご購入後、デスクトップのライブラリー、またはアプリ上の「目次」でご...

『面白いほど「経済」「数字」に強い人になれる!一生お金に困らない「稼ぐ、使う、貯める」技術』との副題だったので、個人的にはファイナンシャル・プランニング寄りの、効率的に個人資産を増やす方法などの情報を期待していたのですが、大半が、

  • 固定費・変動費の区別
  • 家庭や企業の収支の分析の仕方
  • 決算書の読み方
  • マクロ経済について

など、少しでも経理を勉強したことのある人には目新しくない内容でした。

しかし、会計の知識のない人にとっては、非常にわかりやすく経済の仕組みや家計を把握する方法が説明されていて、一読に値する良書だと思います。

この本の特徴として、お金の流れを「ブロックパズル」という図を併用して解説しているのですが、収入のうち、どれだけ変動費に費やされて、固定費が残りのどれだけを占めて、最終的に手元に残る収益がいくら(もしくは、借金がどれだけ)、ということを視覚的に説明しているので、文章や数字だけで内容を理解しようとするよりも数段わかりやすいです。

自分も、簿記の勉強を始めたばかりの頃、図形を書きながら問題を解いていたなあ、と懐かしく感じました。本と違ってわざわざファイルを開かないとならないので、その点、手間がかかりますが、audibleでも「ブロックパズル」その他視覚資料をまとめたPDFファイルにアクセス可能です。

こちらの本ですが、そもそも、経営コンサルタントとして活躍されている和仁達也(わに・たつや)さんが、品川女子学院で女子高校生向けに行った、計6回各90分の課外授業を書籍化したものだそうです。「シンプル」をとことん追求したとのことで、高校生にもわかりやすく、しかし凝縮された内容となっています。

本の構成も、

1限目 お金持ちのお金の考え方・貧乏人のお金の考え方
2限目 会計を学ぶ前に、家計を学ぼう
3限目 会社の数字を読める人・読めない人
4限目 新聞から、10分で世の中の動きをつかめる
5限目 ランチタイム10分の会話で「人」を見抜く!
6限目 オーダー待ち10分で、「お店の儲け」を見抜く!

と、時間割のようです。

貸方・借方の概念などから入る無機質な簿記の勉強とアプローチが異なり、日本の国家資産やスターバックスの決算書を分析してみたり、どんなタイプの人に将来性があるかを見極める方法を話し合ったりと、高校生たちも授業に参加していて楽しかったのではないでしょうか。

実社会に出た後に役立つお金の知識に関する講義だったとあとがきに書かれていますが、ただ「お金を儲けよう!」と説いているわけではなくて、いかにして豊かな人生を築いていくかを、会計に関する説明を交えながらアドバイスしているので、会計に関するビジネス本というより、自己啓発本としての位置づけのほうがあっている気がします。

情報や物にあふれた現代は、選択肢が多いからこそ、何に価値を見出すか、判断が難しいですよね。味気ない考え方になってしまいますが、リターン(=投資利益)を念頭に置いて行動するのも、物事に迷った時の道しるべになるのかもしれません。

和仁さんがおっしゃるように、お金は価値のあるものに集まります。若い人たちには特に、この本で紹介されているような賢い自己投資をして自分自身の価値を高め、幸せな人生を歩んで欲しいなあ、と思いました。

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