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英語の発音:LとR

ロスト・イン・トランスレーション』を観ていて

アマゾンのプライム・ビデオで、ソフィア・コッポラ監督の作品、2004年公開の、『ロスト・イン・トランスレーション』(”Lost in Translation”)を観ました。

一度目に観たのは、日本でだったのか、日本語吹き替え版だったのか。とにかく、かなり昔のことで、あらすじは全くもって覚えていませんでした。

簡単に内容を説明すると、CM撮影のために東京を訪れたハリウッド・スターと、夫の仕事の関係で、同じくアメリカから来て東京に滞在していた女性が、異国の地で友情を育んでいくという物語です。

以前にこの映画を観たときにはなかった感覚が生まれたのは、やっぱり海外での生活が長くなってきたからでしょうか。

観ていて笑ってしまうのが、映画に出てくる日本人たちの英語と、主人公のアメリカ人、ボブが、文化の違いと、日本人とコミュニケーションに苦労する姿。

コマーシャル撮影のシーンでは、日本人監督と、出演者であるボブの会話を橋渡しする役目の通訳者が、矢継ぎ早に繰り出される監督の指示を、乱暴に一言で意訳するので、ボブには何をするべきなのか理解できず、現場は気まずい雰囲気になってしまいます。

また、ある日本人女性がボブに、「~を引き裂いて!」と、英語で言うシーンがあるのですが、その女性が、「引き裂く」=”rip”を、”lip”(唇)と発音するものだから、全然伝わらない(笑)。

横でゲームをしながら、ちらちらと映画を見ていた、うちののんきオージー君も、くすっと笑っていました。

発音矯正で気づいたこと

10年以上もシドニーで暮らしているのに、いまさらという感じですが、昨年、4か月間ほど、発音矯正に取り組みました。

ある不愉快な経験をしたことが発端なのですが、「あれ?私の話している英語って、もしかして聞き取りにくい?」と疑問に思うことがあったのです。自分の声って、録音して確認する機会でもない限り自分で客観的に聞くことはないじゃないですか。

普段、文法や単語が正しいかを意識することはあっても、アクセントに注目したことはなかったので、私の話している英語は日本人特有のアクセントが強いのか、相手の人にとって聞き取りやすい英語を発音しているのかどうか、改めて見直すいいきっかけとなりました。

発音矯正の詳しい内容は後日、別の記事に起こそうと思っていますが、具体的に何をしたかを手短に説明すると、週一度のオンライン・コース受講と、携帯電話のアプリを使ったトレーニングです。難易度の高い発音については、YouTubeで発音関連のビデオも見ました。

よく日本人が指摘される、「TH」(舌の先端を、前歯の隙間に軽く挟んで発音)や、「R」(舌先をのどの奥の方に丸めて発音)はもちろん、オーストラリア人のオンライン・コースの先生に、改善するよう課題を出されたのですが、意外に難しかったのが「L」の発音でした。

冒頭に書いた『ロスト・イン・トランスレーション』での一場面は、日本人が「R」を発音できず、まったく意味の違う単語になってしまうケースです。「R」の、舌を丸めた時に出る、こもったような感じの音が、日本語には存在しないので、「L」に聞こえてしまうのではないでしょうか。

しかし、私には、「L」が末尾に来る単語の場合は、「R」以上に発音が難しいです。

「L」が先頭中間にくる単語の場合は、後に続く音があるからか、日本語の「ら」行のように、舌の先で上の前歯の後ろを叩くような感じで短く発音しても、英語のネイティブ・スピーカーに比較的、理解してもらいやすい気がするのですが、「L」が最後に来る単語の場合だと、叩く感じではなく、舌先を前歯の後ろに置いてくるような形になるからです。

舌の後ろの方は下あごに押し付けるのに、舌の先は上あごにはりつける感覚というのでしょうか?舌に階段のように、段差をつけると言ったほうが、わかりやすいかもしれません。あと、オンライン・コースの先生にも指摘されたのですが、少し長めに発音することですね。

こんな舌の形を作るなんて、今までの人生で皆無でした。英会話のクラスでも、英語のテキストを読んでいても、そんな情報にお目にかかったことがないので、「私、”L”の発音ができない⁈」と気づいた時は愕然としました。

携帯電話の発音矯正のアプリも、どうりで私の「L」の発音に関しては、何度トライしても、やり直し!と、合格点をくれないわけです。

「L」音が末尾にくる単語って、けっこう多いんですよね。”…ful”とか、”…ble”とか。いろいろ舌の形を変えてアプリのテストを受けてみたり、インターネットで「L」の発音について説明しているビデオを探して発音を真似してみたり、さんざん試行錯誤を繰り返して、なんとか、ぼんやりとですが、感じがつかめたのです。

オーストラリアで耳にする、いろいろなアクセント

オーストラリアは移民の文化なので、多種多様なアクセントがあります。

なので、オーストラリア都市部ではたいがい、海外のアクセントに慣れていて、私の日本語のアクセントの強い英語も聞き取ってくれる人が多いと感じるのですが、やはり、相手やシチュエーションによって、きちんと英語を発音しているつもりでいても、伝わらない場合があります。

例えば、地方であまり移民がいない地域だと、相手がオーストラリアで生まれ育った人たちとしか日頃かかわりがなかったりするので、ゆっくり、わかりやすいように話しているつもりでいても、何を話しているか理解してもらえないことがありました。

ジムなど、日常会話では使わない単語を頻繁に使用する環境でも、会話が難しかったりします。

そういうシチュエーションに遭遇するたびに、私が母国語訛りの強い人と話す時に、「わかりづらいなあ」と感じながらも、全神経を会話に集中させて話の内容を理解しようと努めるように、相手も一生懸命、私の英語を聞いてくれているのだなあと思うわけです。

そして、いかにグローバル化が進んでいるとはいえ、自分のアクセントを相手に押し付けるのではなく、わかりやすい発音を身につけたほうが、コミュニケーションがうまくいくのだなと再度、認識します。

まとめ

日本語とはまったく異なった口や舌の使い方をして発音する英語の発音って、難しいですよね。そして、「L」の発音は、きちんと習ったことがない人も多いのではないでしょうか。

他のアルファベットの発音も、最近また、発音矯正中に教わったことを忘れて自分本位のアクセントで話してしまっているので、もっとわかりやすい発音で話せるように、日頃から意識していきたいと思っています。