先日、仕事から帰ってきたのんきオージー君が、
「、、、でさあ、『ジャンケンポン』ってやれば、すぐ決められるじゃん。だからさあ、、、」と(英語で)話しかけてきました。
うんうん、とキッチンで夕飯の準備をしながら話を聞いていた私ですが、少し経って、
「え?今、『ジャンケンポン』って言った?」と、確認することになりました。
イントネーションもアクセントも完璧。まるで、あなた、日本人ですか?というくらい自然な「ジャンケンポン」の発音だったので、英語でもじゃんけんする時、「ジャンケンポン」って言うんだったっけ?と、一瞬、頭が混乱したのです。
もちろん、英語では「ジャンケンポン」とは言いません。「ロック・ペーパー・シザース」(”Rock, paper, scissors”)ですね。
我に返って、「なんでさっき、『ロック・ペーパー・シザース』の代わりに、『ジャンケンポン』って、日本語で言ったの?」と聞いてみました。
のんきオージー君が言うことには、
「英語だと、『ロック・ペーパー・シザース』っていうけれど、ロック(グー)とかシザース(チョキ)とか、出すタイミングが微妙なんだよね。『シザース』って言ったのと同時に出す人もいれば、『シザース』って言った直後に出す人もいるんだ。
そもそも、『ロック・ペーパー・シザース』っていう言葉の順番も決まってないから、『ペーパー・ロック・シザース』と言う人もいれば、『ロック・シザース・ペーパー』と言う人もいるし。
日本語の”『ジャンケンポン』って掛け声、リズムいいし、『ポン!』でロック(グー)とかを出すっていうのが、わかりやすいじゃん!」
だから、以前、じゃんけんをした時に、私が「ジャンケンポン!」と掛け声をかけたのを聞いてから気に入って、以来、「ロック・ペーパー・シザース」ではなく、「ジャンケンポン」と言うことにしている、ということでした。当の私はすっかり忘れていましたが。
そんなわけで、じゃんけんについてしばらく話していると、
「『ジャン』がロック(グー)、『ケン』がペーパー(パー)、『ポン』がシザース(チョキ)という意味なの?」
と不思議そうなのんきオージー君だったので、英語と違って「ジャンケンポン」という掛け声とグー・チョキ・パーには関連はなく、日本語ではロックは「グー」、ペーパーは「パー」、シザースは「チョキ」と言うことも教えてあげました。
海外に来てから感じたことのなのですが、日本語って、擬態語や擬声語を多用するので、時折意味を説明するのに苦労します。「ハサミでチョキチョキ」なんて、日本独特の表現ですよね。ボディーランゲージを交えてみたり、音を真似して説明してみたりしますが、きちんと伝わっているのかどうだか。
ちなみに「あいこでしょ」に相当する英語での掛け声はなく、ただひたすらに、「ロック・ペーパー・シザース」を繰り返すそうです。あいこがでたら、日本語では「あいこでしょ!」と掛け声をかけること、「あいこ」は”draw”(引き分け)を意味すること、を教えてあげると、「今度からあいこが出た時、『アイコデショ!』って言ってみる!」とのことでした。
「ジャンケンポン」という掛け声に関しては、どのように発祥したのでしょうね?「ケン」は「拳(ケン)」のような気がしますが。
10年以上英語圏で生活していても、知らない英単語や表現に出くわすことは多々あります。聞いたことのない英語に出くわすと、意味を調べたり、次回、再度辞書に頼らないでいいように覚えようとあくせくする私ですが、こうやって、反対に日本語を気に入って使ってもらえるようになって、嬉しく思いました。今後、日本人以外の人とじゃんけんする時も、積極的に「ジャンケンポン!」の掛け声を使っていこうと思っています。
皆さんも、もし英語でじゃんけんをする機会があったら、あえて、「ジャンケンポン!」と言ってみてください。海外の方にもこの掛け声が気に入られて、いずれ世界で通用する共通言語になったらいいなあなんて思っています。