昨年10月末に引っ越ししました。シェアハウスを除くと、オーストラリア移住後、5回目の引っ越しです。
それまで住んでいたアパートには、5年半、お世話になりました。古いアパートでしたが、家賃が比較的安く、ビーチから徒歩1分という、好立地で気に入っていました。
ところが、オーナーが賃貸をやめて、そのアパートに住み始めたいとのことで、退去依頼が来てしまったのです。通知を受け取ってから3か月以内、明け渡し期限の12月中旬までに新しい住処を確保しないとならないため、相当焦りました。
というのも、コロナ禍が落ち着いてきた頃から、シドニーの賃貸住宅市場は非常に競争率が高いのです。家賃の相場も、地域を問わず、全体的に上がっています。おそらく、政府の移民や留学生受け入れ増加政策が影響していると思われるのですが、需要と供給のバランスが取れていないのです。物価上昇や利息率上昇も相まって、一週間の家賃が100ドル(日本円にして1万円ほど)あがったという話もよく聞きます。
クリスマス休暇の時期に入ってしまうと、オーナーや不動産業者が休みに入るため、より物件探しが困難になってしまうので、早急に引っ越し先を決めようと、即行動に移しました。
引っ越し先の最低条件は、
- 通勤に負担がかからないように、同じくノーザン・ビーチズ(”Northern Beaches”)内
- 公共交通機関へのアクセスが比較的よい
- 鍵のかかるガレージがある
- 寝室2部屋
- 家賃は、それまで払っていた家賃プラス200ドル以内(週)
出来れば下記の好条件であればと思ったのが、
- 路上駐車のしやすい地域
- スーパーやカフェなどが徒歩圏内
- 閑静な住宅街
でした。
ほぼ毎日、オーストラリアの賃貸住宅情報を扱っているウェブサイトで新しく市場に出てきた物件をチェックしては、インスペクション(内見 “inspection”)に行く日々が始まりました。オーストラリアでは、基本的にインスペクションで実際に物件を確認しないと、賃貸契約を結べません。物件を借りる側にとっても、物件の状態を契約前に確認する大切な作業です。
インスペクションの行われる曜日は基本的に水曜日と土曜日なのですが、幸い?私が転職活動中で無職だったため、水曜日の内見にも行くことができました。
同日に数件、インスペクションが予定されている物件があると、前後のインスペクションの場所や時間を考慮して、スケジュールを組みます。日本のシステムと異なり、個人的に内見の時間などは指定できず、不動産業者の設定した時間内に現地に行かないとなりません。しかも、インスペクションは大抵、15分間しか時間が設けられていないので、予定を組むのも大変です。時には、時間がかぶっていてどちらかの物件を選ばないとならなかったり、移動の時間などの関係で間に合わなかったりして、インスペクションを断念しなければならない物件もありました。
ノーザン・ビーチズは、Central Business District(”CBD”)と呼ばれる、シドニーの中心街から、バスで約1時間と交通の便が比較的良いのに加えて、サーフィンや海水浴に人気のビーチも多数あり、しかもローカルのゆったりした雰囲気のある地域で、ワーキングホリデーやバックパッカーズで滞在する人たちにも人気があります。当然のことながら、賃貸住宅の激戦地です。
家賃の安いところは特に、多少物件が古かったり不便な地域にあったりしても、ものすごい人数の行列ができており、アトラクションの入場制限並みに、入れ替え制でインスペクションが行われる始末でした。「ハロー」とにこやかに挨拶をしつつも、心の中では、「この人もライバルか」とみんな思っていたのではないでしょうか。
そんなに広くない物件なのに、家賃、こんなに払わなきゃならないの?
最近、家賃、高いところばかりじゃない?
この広さでこの家賃って、(高いと思うけれど)これが相場なの?
と、他にインスペクションに来ている方々の疑問の声も何回か耳にしました。
一軒目に応募したところは、以前に住んでいたアパートのすぐ近くです。多少の妥協をしつつも、私たちの希望する最低条件は満たしていたので応募したのですが、断られてしまいました。
しかし、ビーチやのんきオージー君の職場から少し遠くなってしまいますが、よい物件が見つかりました。それまで住んでいたアパートに比べて格段に広く、リノベーションもされていてとてもきれいです。それまで払っていた家賃に上乗せして200ドル(週)を払うにしても、納得のいくアパートでした。インスペクション時にはたくさんの人が不動産業者の担当者に応募に関する質問をしていて、人気がありそうでした。
なので、不動産業者から私たちの応募が通ったと連絡が入った時は、嬉しくて小躍りしました。不動産業者の選考基準を知らないので、憶測にすぎませんが、
- 仕事で行けない人が多い水曜日のインスペクションに行くことができた
- 即応募した
- 自己推薦状を細かく書いた
- 過去の賃貸の履歴に、家賃滞納などの問題がなかった
などが幸いし、物件を確保できたのではないかと思っています。
それから契約書の確認、引っ越し業者の手配や荷造りなどを、大急ぎで行いました。やることが多すぎてストレスフルな日が数日続きましたが、引っ越しは無事完了。最近はシェアハウスでさえ、獲得に苦労している人たちの声をフェイスブックなどでよく耳にするので、二軒目の応募にして賃貸契約までこぎつけられた私たちは本当にラッキーだったのだと思います。
今では、3階まで階段で上るのも、プラス週200ドルの家賃の支払いにも慣れ、去年まで住んでいた場所より快適に過ごしています。しかし、次の引っ越しはいつ来るのだろう?
それまでにオーストラリア、特にシドニーの賃貸住宅市場が改善されていることを祈るのみです。